ブックレット刊行『バナナとフィリピン小規模零細農民』

石井正子・関根佳恵・市橋秀夫『バナナとフィリピン小規模零細農民――バランゴンバナナ民衆交易の現状と課題』(埼玉大学教養学部リベラル・アーツ叢書10、2018年:ISBN 9784991013904)。

 この小著は、2014年から2016年にかけて断続的に行なった現地調査をもとに、生産者および生産地側の視点を中心に、3人の日本人研究者がバナナの民衆交易の現状と課題を論じたブックレットである。以下に、目次、「はじめに」の一部、そして著者紹介を掲載する。なお、本ブックレットは市販していないので、本書の内容にさらに関心をお持ちの方はご連絡をいただきたい(郵送料は実費)。

 

<目次>
はじめに
序章 バランゴンバナナ民衆交易の歴史と特色   市橋秀夫
 1.オルター・トレード・ジャパン社(ATJ)の歴史
   1-1.バナナの国際産直の始まり
   1-2. 地域循環型の自給自足社会の構想
   1-3. 消費者主導の民衆交易
   1-4. グローバル経済の伸展にともなう社会環境の変化
 2.民衆交易とは?
   2-1. ‘fair trade’ の定義
   2-2.フェアトレードと民衆交易の基本原則
   2-3.イギリスにおけるフェアトレードの変容
   2-4.認証型と提携型/一般市場の消費者と組織された消費者
   2-5.フェアトレードと民衆交易の実践基準の比較
第1 章 バランゴンバナナ民衆交易の語り方・語られ方
    ―ネグロス島の零細バナナ生産者の事例調査から― 市橋秀夫
 1.はじめに
 2.ネグロス東州のバランゴンバナナ生産農家の生活と意見
   2-1.ネグロス東州のプロフィール
   2-2.バランゴン交易に占めるネグロス東州の重要性
   2-3.事例調査から①: サンタ・カタリーナの生産者
    2-3-1.P さん、R さん・Q さん夫妻
   2-4.事例調査から②: マンフヨッドのバンカル生産者組合
    2-4-1.Y さん、X さん
 3.ネグロス東州の小規模零細農民にとってのバランゴンバナナ 37
   3-1.バランゴンバナナの民衆交易への参加理由: 確証のもてる定期的現金収入源
   3-2.民衆交易への参加意識: 概して希薄である理由
   3-3.買い取り価格への不満
   3-4.病害の広まりや天候不順に対する懸念
 4.東ネグロス州の生産者の視点から再検討する民衆交易
   4-1.「自立」言説の問題点
   4-2.欧米フェアトレードとネオリベラリズム
 5.おわりに


第2 章 ミンダナオ島の先住民とバラゴン・バナナ民衆交易   石井正子
 1.はじめに
 2.調査と調査地の概要
   2-1.調査の概要
   2-2.影響調査
   2-3.レイクセブ町
 3.ミンダナオ島の社会経済的変化と
    レイクセブ町のルマド(非イスラム系先住民)
   3-1.ミンダナオ島の社会経済的変化とルマド
   3-2.1960 年代以降のレイクセブ町の社会経済的変化とルマド
 4.バラゴン・バナナ民衆交易の影響
   4-1.直接的影響
    4-1-1.家計への貢献と定期副収入
    4-1-2.教育・保健医療
    4-1-3.低投資、低リスク
    4-1-4.自給的生業基盤(サブシステンス)の維持:他の作物との混作による低機会費用
    4-1-5.民衆交易
   4-2. 間接的影響
    4-2-1.環境・文化の維持への貢献度: 在来品種のバナナを無農薬栽培することの影響
    4-2-2.多国籍企業のバナナ栽培への対抗価値
 5.おわりにかえて

第3 章 ミンダナオ島における民衆交易の事業拡大とその課題
    ―コタバト州マキララ町を事例として―         関根佳恵
 1.はじめに
   1-1. 問題意識と課題設定
   1-2. 先行研究と分析視角
   1-3. 本章の構成と研究方法
 2.ミンダナオ島における民衆交易の事業拡大
   2-1. 2000 年代以降の民衆交易の事業展開と現地ステークホルダー
    2-1-1. ミンダナオ島における民衆交易の展開
    2-1-2. 現地ステークホルダー: 農地改革受益者たちとFARMCOOP
    2-1-3. FARMCOOP との出会いと決別
   2-2. 事業拡大の役割と意義
    2-2-1.「 事業」としての民衆交易・生協運動
    2-2-2. 新たな社会的意義の確立を求めて
 3.コタバト州マキララ町におけるバランゴンバナナ生産事業 82
   3-1. 産地の概要
    3-1-1. マキララ町とバナナ産業
    3-1-2. 現地のパートナー団体: ドンボスコ財団
    3-1-3. マキララ町におけるバランゴンバナナの生産と出荷
    3-1-4. マキララ町におけるバランゴンバナナ事業の影響と課題
   3-2. 技術的課題
   3-3. 経済的課題
   3-4. 合意形成上の課題
 4.おわりに: バランゴンバナナの再構築に向けて

 

<はじめに>(抜粋)

1.本書の背景と調査の経緯
 鶴見良行の『バナナと日本人』(岩波書店、1982年)が刊行された当時、日本で手に入るバナナといえば多国籍企業の手によるプランテーション栽培バナナしかなかったといっても過言ではないだろう。刊行当時、『バナナと日本人』を読んだ多くの読者が、フィリピンのバナナ栽培労働者を経済的にも健康のうえでも搾取しない、農薬漬けではない、子どもに食べさせても心配のいらないバナナを手にできたならば、と思ったにちがいない。しかし、そのとき一体誰が、それが近い将来実現すると考えただろうか。
 ところが、十年と経たないうちに、それは「バランゴンバナナの民衆交易」(People to People Trade in Balangon Banana)として実現した。そして、それから30年近く経ついまも私たちは、生活協同組合をはじめとする各種の消費者組織をつうじて、「バランゴンバナナ」と呼ばれる無農薬栽培バナナを購入することができる。しかも、このバナナの買い付けと輸入販売は、国際貿易など携わったことのない、アジアの人びとの暮らしと命に熱い想いを持ったズブの素人たちの手で始まり、悪戦苦闘の試行錯誤をしながらなんとか実現されてきたものなのである。
 この小さなブックレットは、そうして日本に届けられるようになったバランゴンバナナ栽培の実像―小規模零細生産者の生活世界や意識、バランゴンバナナの栽培と出荷、現地の地域パートナー団体の役割、等々―を明らかにし、「国際産直」とも「日本版フェアトレード」ともいわれる「民衆交易」の現状と課題を提示しようとした論文集である。現地調査は、2014年から16年のあいだにおこなわれたが、調査対象としたのは、バランゴンバナナの主たる生産地であるフィリピンのネグロス島とミンダナオ島の限られた栽培地域である。それらの現地調査をふまえたうえで、食をめぐる日本や世界のさまざまな社会経済の環境変化や、近年の欧米の食をめぐる社会運動やフェアトレードの動向、それらに対する各種の研究を参照し、各論考はまとめられている。本ブックレットは、バナナの「民衆交易」について、学術的な観点をふまえて掘り下げ
て論じることを試みた初めての論集である。
 現地調査は、25周年を迎えようとしていたバランゴンバナナの民衆交易業者であるオルター・トレード・ジャパン(Alter Trade Japan: 以下ATJと記す)が、自らの事業の包括的な見直しをする際の参考とするべく始まったという経緯がある 。しかし、本ブックレットに収録された論考は、独立した研究者としての立場から執筆されている。したがって、言うまでもないことかもしれないが、本ブックレットは、ATJやそのスタッフの見解や立場を表明したものではないことを記しておく。(以下省略)

 

<著者紹介>
●石井正子(いしいまさこ):立教大学異文化コミュニケーション学部 教授
1997 年上智大学大学院外国語学研究科博士課程満期修了。2000 年博士(国際関係論)。専門はフィリピン地域研究。主な業績に『女性が語るフィリピンのムスリム社会:紛争・開発・社会的変容』(明石書店, 2002 年);「平和の配当」は平和をもたらすか:フィリピン南部の紛争地に対するJ-BIRDの可能性と限界」福武慎太郎・堀場明子(編)『現場<フィールド>からの平和構築論』(勁
草書房, 2013 年);'Bananas, Japanese, and the Armed Conflict in the Southern Philippines:
A Critical Review of Japan’s Role in Peace Building', Journal of Sophia Asian Studies, 33: 95-
109 などがある。
●関根佳恵(せきねかえ):愛知学院大学経済学部 准教授
2011年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。立教大学経済学部助教、愛知学院大学経済学部講師を経て、2016年より現職。専門は農業経済学。2013年に国連世界食料保障委員会の専門家ハイレベル・パネルに参加し、報告書を執筆。その報告書は、家族農業研究会・農林中金総合研究所共訳『家族農業が世界の未来を拓く―食料保障のための小規模農業への投資―』農文協、2014年、として翻訳・刊行されている。近著にKae SEKINE and Alessandro BONANNO, The Contradictions of Neoliberalism in Agri-Food: Corporations, Resistance and Natural Disasters in Japan, WV: West Virginia University Press, 2016 がある。
●市橋秀夫(いちはしひでお):埼玉大学大学院人文社会科学研究科 教授
1995年英国ウォーリック大学大学院社会史研究所博士課程修了。博士(Social History)。埼玉大学教養学部専任講師、英国ド・モントフォート大学国際スポーツの歴史と文化センター客員研究員などを経て、2009年度より現職。専門は、イギリス近現代社会史。主な業績に、「ニュー・カルチャーの誕生?―1960年文化の再検討」、井野瀬久美惠編『イギリス文化史』昭和堂、2010 年所収;「戦後イギリスにおけるリクリエーショナル・スポーツの変容―コヴェントリ市の経験に即して」、早稲田大学スポーツマネジメント研究会編『スポーツマネジメント 教育の課題と展望』創文企画、2013年所収;‘ The Reception of E. P. Thompson in Japan: The New Left,The Making, and“ Moral Economy”’, International Review of Social History, 61(1), 2016,pp. 51-73;「日本におけるベトナム反戦運動史の一研究―福岡・十の日デモの時代(3)」『日本アジア研究』13 号、2016年、15-42頁など。学生時代、マルコス独裁政権下で民主化のための教育文化活動を展開していたフィリピン教育演劇協会の活動を知り、日本での演劇ワークショップ運動に参加。南北問題への関心から、イギリスの奴隷貿易とその廃止運動の歴史を学び、イギリスのフェアトレード文献の翻訳も経験。近年は福岡でのベトナム戦争反対運動の聞き書きに取り組む。


バナナ・リテラシーと日本人

 鶴見良行さんの『バナナと日本人』(岩波書店)が刊行されたのは1982年。それから30年以上がたった。この間、バナナと日本人の関係は、どこまで、どのように変わったのだろうか。当時は、大手商社があつかうプランテーション栽培もの以外のバナナを手に入れるのは容易ではなかった。ほとんどすべてが、農薬漬けバナナだった。しかし、1989年には、オルター・トレード・ジャパン(ATJ)社が、フィリピン中部のネグロス島の無農薬バナナである「バランゴン・バナナ」を生協を通じて販売するようになり、日本の消費者は選択肢を持つようになった。以来、日本の消費者は、'toxic banana' とか 'chemical banana' と呼ばれる多国籍企業バナナを買わずに済ますことができるようになったのである。

 そしていま、一般のスーパーや青果物店では、「有機栽培バナナ」を見かけるようになった。フェアトレード認証の一つとされる Rainforest Alliance や 有機JAS の認証マークが貼られた有機栽培バナナも販売され、それらには、コロンビア、エクアドル、ペルーなど南米の産地も含まれている。また、多国籍企業も、「高地栽培バナナ」や「エコバナナ」など、より甘みのあるフィリピン・バナナをブランド化して販売するようになった。

 そうした選択肢の増大を前にして、日本に住む私たちは、フィリピンをはじめとする世界各地から日本の市場に売られてくるバナナについて、必要な知識を持ち、十分な判断材料をもったうえでバナナを購入するようになったのだと言えるのだろうか。私たちのバナナ・リテラシーの水準は、はたして十分な水準にあるのだろうか。 


フィリピン現地調査の報告

過去3回、それぞれ短期間だが、フィリピンのバナナ生産地を訪問し、生産者や関係者から話を聞くなどの作業を実施。

1.ネグロス島 2009年8月5日~12日

●訪問地

・ネグロス島東部の Manjuyod(マンフヨド)、Tanjay(タンハイ)、Dumaguete(ドマゲッティ)のPacking Center、Sta. Catalina(セント・カタリーナ)。

・ネグロス島西部のPandanon(パンダノン)、Naguislod(ナギスロッド)、Isabel(イサベル)。

●調査結果の概要
・さまざまなタイプの産地を訪問することができ、ネグロス島に限られるが、バナナ生産から輸出までの全体像をより具体的に把握することができた。
・生産者の生活状況、ATCのバナナ交易に参加する理由、日本の消費者への期待などについて、具体的に理解することができた。
・ATGに関する外部調査資料や、バランゴンバナナ生産に関わるマニュアルなどの諸資料を入手することができた。

・全体として、バランゴン・バナナ交易が、生産者の生活水準の向上に役立ってきていることを確認できた。安定的収入源として高く評価されているほか、技術的ノウハウの提供や産地周辺での集荷作業も、高い評価を受けていた。
・バナナ生産者だけでなく、内戦による国内難民、スラム住民、運動活動家などに安定した雇用を長年にわたって提供してきた、パッキング・センター、バナナ運搬、サトウキビ加工工場、などの存在も重要であることが理解できた。
・バナナ生産だけに依存しない栽培多角化による自律プロジェクトについては、さまざまな試みがなされてきているが、一定の国内マーケットを確立するまでの展開とはなっていない。ただし、それには、国内マーケットの性格、バナナ生産から受けるメリットとの競合、推進役となるキーパーソンの欠如など、さまざまな制約や背景的理由があるように推測された。
・”people to people trade”というフレーズは、バランゴン・バナナ交易の理念を適切に表現したものであるように思われた。フェアトレードとの最も大きな違いは、書類による一律基準審査による認証ではなく、具体的な信頼関係の構築が生産者と消費者とのあいだで目指され実施されている点にある。生産者と消費者との間に具体的な交流がなされ、つねに顔が見える互恵的な関係作りがめざされている。

●今後の課題として

・ネグロスの生産者と日本の消費者とのあいだの経済的格差は、はなはだしい。これを、NGOによる援助プロジェクトや貿易によってのみ変革していくことを展望することは困難であり、より影響力のある変革を目指す場合には、国際貿易体制の枠組みを変えていくための政治的働きかけが必要である。
・現在のATJ-ATCバナナ交易体制によって恩恵を受けてきているフィリピンの小規模農民および日本の協同組合消費者に対して、ATJとATCには交易の存続という重要な社会的責務があると言える。しかし、それに加えて、ATJやAPLAは、経済的便益にとどまらない実現目的を有した、自らが目指すところを体現するような特色ある重点プロジェクトを持つべきであろう。たとえば、すでに取り組まれている、次世代農民の育成(カネシゲ・ファーム)、小規模BM技術の普及(北ルソン)のほかに、先住民民族生産者への支援、最貧困生産地への支援など。
・日本の消費者に対して、生産者情報をより良く伝える作業がATJには必要であるように思われた。また逆に、日本の消費者情報・日本の消費者の声を、生産者に伝達する作業もATJはしていく必要があるのではないか。
・ATJの社員は、産地訪問を頻繁に行い、生産者の現状をより的確アップデートして把握すべきである。

●今後の調査の進め方について
・バナナ生産による生活水準の向上は、全般的には明白な事実であるように思われる。また、複数の外部調査がすでに近年なされ、それらによっても生活水準の向上は確認されている。したがって、今後の調査は、全体に対するアンケート調査ではなく、対象と明らかにすべき論点を明確にした、複数のin-depthな産地事例調査を、ライフヒストリー的な聞き取り調査によって行なうことが、独自の特色と成果を出せるのではないかと思われる。
・産地および生産者農家の特徴は、産地の歴史的背景、都市近郊であるか遠隔地であるか、所有する土地の規模、これまでの栽培経験の歴史、土壌など栽培環境に恵まれた地域か否か、子どもの年齢階層、ほかの収入源の有無、村の人間関係、などによって異なっているように思われる。
・産地の調査においては、産地地域全体の経済構造や市場構造もあわせて把握する必要がある。現地の大学研究者やNGOリサーチャーとの連携が望ましい。
・生産者だけでなく、流通過程に関わって雇用されている人々(パッカーやドライバー)への調査も必要である。
・フィールド・アシスタントは、バナナ交易にきわめて重要な役割を果たしていると思われるので、フィールド・アシスタントについても聞き取り調査が必要である。


2.ネグロス島 2011年3月7日~17日

●訪問地

・ネグロス島東部のManjuyod、Tanjay、Santa Catalina の諸生産地村々。

・Dumaguette の パッキングセンター。

●調査結果の概要
・ネグロス・オリエンタルの3地域のバナナ生産者およびFAに聞き取り調査を行ない、家計状況や地域状況、生産者の不満など、具体的に把握。
・生産者の多様な生活状況と、それぞれの暮らしにおけるバナナ栽培の重要性や位置づけの違いを把握。
・一様にATCによる買い付け価格への強い不満の存在を確認。一般市場と価格が変わらなくなってきており、特にドマゲッティ周辺では市場価格のほうが高い場合が一時的ではあるが過去にあった。
・天候不順や病害などによる生産性の落ち込みが広くみられた。
・遠隔地の高齢者や最貧困層の人びとに対して、とりわけATCのバナナ交易は生活の維持・安定に役立っている。
・遠距離収穫地から買付センターまでのハウリング(運びだし作業)が、生産者の過大な負担になっている。
・バナナ生産者だけでなく、交通手段の提供といった点で、地域コミュニティ全般に対してATCのバナナ事業は重大な貢献している。
・一般市場へのバナナの買付・販売もFAが行なっていて、コミュニティにとって有意義であるように思われた。
・ネグロス・オリエンタルでは、組合活動はまだ始まったばかりであり、今後が注目される。
・前回の2009年調査から出てきた調査課題を、今回はおおむねクリアすることができた。

●課題
1.コミュニティ・エンパワーメントの可視化の必要
・価格に対する不満の問題は深刻であるように思われた。生産者は、個人レベルではATCのプログラムの利点を多面的に把握しているが、ATCの民衆交易のプログラムがコミュニティ全体に貢献しているととらえている生産者は少ない。その結果として、一般物価が急上昇していることもあり、据え置かれてきている買い付け価格に対して生産者の不満が集中的に表明されることは避けられなくなっているように思われた。利益が共同的なものでもあることを目に見える形で表現し理解してもらうためのなんらかの仕組みが必要ではないか。
2.多様な生産者・生産地域の位置づけの必要
・ATCおよびATJは、ATCプログラムに参加しているバナナ生産者の多様性を十分に把握し、そこから事業の全体像をとらえ直し、消費者に伝える必要がある。生産者は一律ではなく、多様である。それぞれの生産者を、ATC/ATJはどのように位置づけているのか判然としない。それらをはっきりさせ、バナナ交易の目標や今後の見通しを常にリニューアルする必要があるだろう。
3.生産者との対面コミュニケーションの深化の必要
・ATJの社員は、産地訪問をより頻繁に行い、生産者の現状をより的確アップデートして把握すべきである。
4.シガトカなど病害や天候不順への対策の難しさ
・バナナの病害への対応は容易ではない。この方面のより深い情報を持っていくことが必要である。