●Rina Sawayama 「Hold the Girl Tour 2023」2023年1月20日、東京ガーデンシアター。

 在英日本人アーティスト、リナ・サワヤマ初のジャパン・ツアー。こんなに大きな会場でのコンサートは初めてだと言う。自分の緊張をほぐすためかのように「みんなここは安全、安心して愉しんでいって」と言う。レインボー・フラッグをもって駆けつけているファンも複数いて、冒頭から会場全体がスタンディングという状況で、Rinaと同世代の男女が観客の中心。

 Hold the Girlもそうだが、歌詞は、若い世代が現代社会で感じている生きづらさ、それを越えていくための励ましの内容のものが強く印象に残る。だけども、その歌詞に共鳴するのは同世代だけではなく、ヘテロな世界で生きぬいてきたエルトン・ジョンのような高齢の帯同者も含まれる。

 楽曲はスタジアム・ロックの王道を行く感じの「今風」という感じだ。商業的成功に押しつぶされずに社会的メッセージを発し続けてほしいし、「スターの社会的責任」というようなまっとうな発言を今後も臆することなく続けてほしい。音楽界での活動にとどまらない活躍もしていく人だろう。

 会場は大きいが、2階席もステージに近く、見やすいし、会場全体にエネルギーが循環しやすい構造だった。セットリストは以下のとおり。

  1. Minor Feelings
  2. Hold the girl
  3. Catch me in the air
  4. Hurricanes
  5. Your age
  6. Imagining
  7. STFU!
  8. Frankenstein
  9. Holy
  10. Bad friend
  11. Send my love to John
  12. Chosen family
  13. First Love [宇多田ヒカル]
  14. Cherry
  15. Comme des Garcons
  16. XS
  17. This hell [アンコール]

Cocco「25周年ベストツアー」(其の2)+(其の3)、2023年2月8日 中野サンプラザ、4月7日 TOKYO DOME CITY HALL、5月15日 ZEPP HANEDA TOKYO。

 Coccoは、2022年3月でデビュー25周年。僕が聴き始めたのは2006年発表の5枚目のアルバム『ザンサイアン』の前あたりからで、沖縄の映画や音楽をあれこれ聴き続けていたときのことだったのではないかと思うが、何がきっかけで聴き始めたのかはちゃんと思い出せない。初期の4枚のアルバムで圧倒的な名声と支持を獲得していたあとの遅れてきた異世代のCoccoファンで、こんなシンガー・ソングライターがまだ日本にもいる(いや、沖縄にはいると言うべきか)ということに大いに驚いた。2005年のくるりと組んだグループSinger Songerの『ばらいろポップ』を経て2007年に悲しみ・怒り・怨情を欠いたおだやかなポップなアルバム『きらきら』が出たときには、従来のコアなファンから失望の声が上がり、「人は変わればこそなのに(人とはそういうものだ)スターは大変じゃ!」と思ったことはよく覚えている。

 2017年の20周年の武道館コンサートは、近い距離で観れたこともあってかその轟きわたる声と細く強い身体性が記憶に残っている。 Coccoが全面的に協力している「沖縄のウタ拝」東京コンサートも、コロナ前の2018年とコロナ後の2022年の渋谷の大和田ホール(ここは廃校になったがかつては娘が通っていた小学校があった場所)に観に行ったが、そこでは、沖縄の過去と未来に唄って祈る沖縄のアーティストにCoccoが加わり、我われもともにささやかな祈りをささげることを受け入れてもらう。

 今回は、2023年11月から始まった「Cocco 25周年ベストツアー」の「其の2」(2か所)と、アコースティック編成の「其の3」を続けて聴きに行った。

 「其の2」の1回目は、2023年2月8日の中野プラザホール。もうすぐ取り壊すそうだが、ホールの音響は良くなかったという印象だ。雨の日で開演時間に間に合わず、観客も静かで、会場はコロナ明けの情感乏しいなんだか湿った雰囲気だった。Coccoさんも調子が良かったとは思えない。ついで観に行った2023年4月7日のTOKYO DOME CITY HALLのライブ、こちらもすごい雨に見舞われたが、ライブはうって変わってエネルギーがあふれ、声もどこから出てくるのかと思うほど底抜けの音量でこちらに届く。歌いっぱなしのパワーは、高校時代に観たボブ・マーリーのコンサート(あれはたしか中野サンプラザだった)以来という感じ。とにかくほとんど休む間もなく歌い続けて、圧倒的。バックのドラムの演奏も重たくて良い。4月に入ってコロナ解除を感じることのできたライブで、ついかけた遠くからの呼びかけにも「はーい」とあの声での返事。

 「其の3・アコースティック編」は埼玉公演のチケットが入手できず、5月15日の追加公演となったZepp Haneda Tokyoに行く。おしゃべりの多い構成のなごやかなライブ。月曜日(!)なのに熱心なファンが詰めかけていた。

 以下は、4月7日のすばらしいライブのセットリスト。

  1. 強く儚い者たち
  2. 焼け野が原
  3. 樹海の糸
  4. あなたへの月
  5. ベビーベッド
  6. 楽園
  7. もくまおう
  8. 有終の美
  9. BEAUTIFUL DAYS
  10. お望み通り
  11. コスモロジー
  12. Raining
  13. Never ending journey
  14. 潮満ちぬ
  15. ポロメリア
  16. 花柄
  17. 音速パンチ
  18. あたらしいうた
  19. ウナイ
  20. クジラのステージ

 


●ましまろ「ほーぼーツアー2016」2016年10月6日、渋谷クラブクアトロ。

 「ましまろ」とは、「ザ・クロマニヨンズの真島昌利、ヒックスヴィルの真城めぐみ・中森泰弘からなる“HIPでCOOLなFOLK&ROLL”バンド」である。

 ましまは元ブルーハーツで、ましろと中森はヒックスヴィル。トギトギした感じの「ましま」と、抱擁感あふれる「ましろ」、鶴見俊輔に似た謎の中森というのが自分の勝手な印象だ。

 こういうバンドが好きである。なかでも真城さんの魅力が一番。何とか終わった一日をほろ酔い気分でこんなライブを聴きながら締めくくれたら、毎日最高である。

 

2ndアルバム『ましまろに』
 【完全生産限定盤】12inchアナログ盤 
 Side-A
1. 朝
2. さがしもの
3. けあらしの町
4. ひき潮
5. ひき潮(inst)
6. ナポリの月
Side-B
1. 遠雷
2. ローラー・コースター
3. 成りゆきまかせ
4. 妙なねじれ
5. わたりどり
 
【通常盤】CD
1. 朝
2. さがしもの
3. けあらしの町
4. ひき潮
5. ナポリの月
6. 遠雷
7. ローラー・コースター
8. 成りゆきまかせ
9. 妙なねじれ
10. わたりどり

●布谷文夫『悲しき夏バテ』(ポリドール、1973年オリジナル、2014年デラックス版リイシュー)。

 大瀧詠一のLet's Ondo Againでしかこれまで知らなかった唄手。CDには、湯浅学の力の入ったライナーノートがついてる。ブルース・クリエイション時代の布谷について「民謡調のこぶしをぐるぐるまわしてカタカナで爆唱する布谷のブルースはまさしく和製であった」と湯浅。ロックに転向してブルース・クリエイションを脱退し、DEWを結成。ライヴ版だけが残されているという。2012年1月15日、脳出血で永眠。ライヴで聴いてみたかった。

 ほとんどが布谷の作詞作曲だが、「冷たい女」は千葉信行、「深南部牛追唄」と「颱風13号」は大瀧詠一が作詞作曲。いずれも傑作。「深南部牛追唄」は、Little Feet の 'Dixie Chiken' の本歌取りかと最近になって気づいた。違う?

 本デラックス・リイシュー版の収録曲は以下の通り。

1.五番街

2.冷たい女

3.深南部牛追唄

4.夏バテ

5.耐風13号

6.ニューオリンズの町へ

7.ホーホー・ブルース

8.街のブルース

9.朝めがさめて

10.水たまり

[ボーナス・トラック]

11.台風13号(シングル・バージョン)

12.冷たい女(シングル・バージョン)

13.からのベッドのブルース(シングル)

14.台風(シングル)

15.夏バテ(Live)

16.冷たい女(Live)

17.新南部牛追唄~大阪へやってきた(Live)


@ラフィータフィー『夏の十字架』(SWIM RECORDS, 2000)。

 図書館で借りようと思ったが、地元の公立図書館には所蔵なし。きっと収録曲7のせいで自主検閲があるのだろう。情けない図書館。

1.お元気ですかマーコさん? 

⇒ Tさんのことを思い出す。

2.目覚まし時計は歌う(選挙ソング) 

⇒ 選挙に行こうよと呼びかける清志郎

 起きろよBaby 今日はいい天気だ Hoo

 選挙に行って投票しようぜ

 起きろよBaby 誰か違う奴に Hoo

 君の一票を託してみないか

 とんでもないのを選んでみないか

 何もしないより退屈しないぜ

 誰かいい奴を選んでみようぜ

 誰か違う奴 選んでみようぜ

3.警察に行ったのに 

⇒ ストーカー被害の訴えに動かない警察

4.北国の少女 

⇒ ?

5.ライブ・ハウス 

⇒ どさ回りの悲哀

6.快適な暮らし 

⇒ 現状肯定欲

7.君が代 LIVE 

⇒ むすむすむすむすまで~ 君が代ぉ~ お~い

8.プリプリ・ベイビー 

⇒ 赤ちゃん万歳

9.誰も知らない 

⇒ 「みんなはテレビが歌う歌しか知らない」

(10-24.これはなんだろう??) 


●"Please Mr. Postman" by Marvelettes

  1961年8月にリリース、同年12月にヒットチャート第1位。これはモータウン・レーベルの最初の1位獲得ヒット曲だという。合衆国ミシガン州デトロイト西方の郊外Inksterの学校仲間5人で結成されたガール・グループで、リード・ヴォーカルはGladys Horton (1945-2011)。少し割れたわずかにハスキーな声が大きな魅力。ビートルズとカーペンターズのカヴァーでも有名なこの曲だが、マーヴェレッツのオリジナルはグラディス・ホートンの歌いっぷりが素晴らしく、何度聞いても飽きない。ビートルズ版はテンポがやや速く、歌詞も若干異なるが、ジョンとグラディスの声質は似ているなあと思う。

 

Wait!!

Oh yes, wait a minute Mr. postman

Wait!!

Waaaiiit Mr. postman...

 

Please Mr. Postman, look and see

Oh, yeah

If there's a letter, a letter in your bag for me

Please, please Mr. Postman

Cos it's been a mighty long time

Oh, yeah

Since I've heard from that boyfriend of mine

 

There must be some words today

from my boyfriend so far away

Please Mr. postman look and see

Is there a letter, a letter for me

 

I've been standing here waiting Mr. postman so, so patiently

for just a card, or just a letter, saying he's returning home to me

Please Mr. postman,

 

Mr. postman look and see

Ooh, yeaah

If there's a letter, letter in your bag for me

Cos it's been a mighty long time

Oh,yeah

since I heard from that boyfriend of mine

 

So many days you passed me by

You saw the tears standing in my eye

You wouldn't stop to make me feel better

by leaving me a card or a letter

 

Please Mr. postman look and see

Is there a letter, oh yea, in your bag for me

You know it's been so long

Yes, since I heard from this boyfriend of mine

You better wait a minute, wait a minute

Oh, you better wait a minute

Please, please Mr. postman

 

Please check and see just one more time for me

You better wait, wait a minute

Wait a minute, wait a minute, wait a minute

 

Please Mr. postman

Deliver the letter the sooner the better

 

Wait a minute, wait a minute

Wait a minute, please Mr. postman

Wait a minute, wait a minute