コンセプト:フランソワ・シェニョー/ニノ・レネ、振付・出演フランソワ・シェニョー『不確かなロマンスーもう一人のオーランド』

 さいたま芸術劇場で、コロナになって初めておこなわれた海外招聘公演。日仏のコロナ状況がどんどん変化する中で、来日できるのか――来日する際の制約や条件などをめぐって、招聘スタッフのみなさんはたいへんな苦労あるやりとりをされたと聞いた。まずはなにより、コロナでロックダウンが続くフランスからはるばるやって来てくれて、2週間ものホテルでの隔離期間を我慢し、埼玉のみならず、京都と北九州でも観客を震わせた9人の訪日チームに賛辞を贈りたいと思う。

 スペインを背景にし、男装の少女戦士、両性具有の聖ミカエル、アンダルシアのジプシー<ラ・タララ>が演じ舞われた。ヴァージニア・ウルフの小説、両性具有の『オーランド―』に主題をとり、静かだがこころ激しい表現の舞台で1時間以上、一人での祈るような舞が続いた。佐藤まいみさんがダンスのプロデューサーを務めるさいたま芸術劇場ならではの招請公演。心から拍手。

(2020年12月19日観劇)